M・モンローとC・ゲーブルの遺作「荒馬と女」
原題 : The Misfits
製作年 : 1961年
製作国 : アメリカ
キャスト:
マリリン・モンロー
クラーク・ゲーブル
モンゴメリー・クリフト
イーライ・ウォラック 他
男は馬をしとめる自分のタフさを誇示したいと思い、女はそれを残酷だと言う。
まさに原題の通り「misfits(=合ってない)」二人。
離婚したてのダンサー、ロズリン(マリリン・モンロー)はカウボーイのゲイ(クラーク・ゲーブル)に出会う。
ゲイは野生の馬の群れを見つけ、缶詰業社に売るため、グイード(イーライ・ウォラック)と
パース(モンゴメリ・クリフト)とを伴い、4人で砂漠に向かう。
ロズリンは傷ついた者や弱者を見ると情けをかけずにはいられないお人よしの女性。
そんな彼女だからロデオでパースが傷ついた時は母親のように愛情をかけ、親身になって彼の話を聞いた。
グイードも彼女に思いを寄せるが、お人よしなだけでなく、人の本質を見抜く彼女に一蹴されてしまう。
グイード:言ってくれ
ずっと待ってた つらかったよ 2週間 本当のおれを見てほしい
君の一言でおれは狩りをやめる どうなっても構わん
ロズリン:グイード あなたは繊細な人よ
奥さんの死を悲しみ 爆弾で人を殺したことを嘆く
でも欲しがるだけね
人の気持ちも考えず泣き言ばかり
世界を破滅させても自分を哀れむのよ
グイードのような人間はどこにでもいる。自分では何もできないから
何とか人に取り入って、時には人を利用し、うまい汁を吸おうというのだ。
その証拠にロズリンにふられた後は、ゲイに彼女の悪口を言い、取り入ろうとする。
「うまくやっている」と思う人もいるだろうが、彼の言葉を借りれば、
彼の人生は一生爆弾を落とし続けるようなものだろう。
爆弾を落とすのはウソをつくのと同じだ
すべてを封じ込める 何も聞こえず 何も見えなくなる
ゲイは昔堅気のカウボーイで、「男のロマン」を追い続けている。
しかし最後はロズリンに負けて馬を狩るのをやめてしまう。
ゲイ:馬狩りは終わりだ 夢に縄はかけられん
別の生きる道を探すさ まだあればだが
ラストシーンは夜、車で家路に着くロズリンとゲイ。
ロズリン:真っ暗で迷わない?
ゲイ:あの大きな星を目指すんだ 星の下に道はある
ちゃんと帰れるさ
二人が話しているのは、単に帰り道の話ではないだろう。
夢をあきらめたかに見えるゲイだが、後悔はないようだ。