オスカルも読んだ!? 〜新エロイーズ   ジャン・ジャック・ルソー〜

ベルサイユのばら 完全版 9 ―外伝― (集英社ガールズコミックス)

たわいもない恋愛小説…か…
そうだろう…彼のような身分の人間には…
愛する女性に正式にプロポーズできるだけの身分のある男には…

だがジェローデルは考えてみたことがあるだろうか
ジャン・ジャック・ルソーのこの“ヌーベル・エロイーズ”が
1761年の出版いらじつに70版ちかくをかさね
市民たちのあいだの不滅のベストセラーとなっているのはいったいなぜなのかを…
              アンドレ・グランディエ


新エロイーズ 全4冊 (岩波文庫)

新エロイーズ 全4冊 (岩波文庫)

オスカルが読んだかどうかは不明ですが、少なくともアンドレとジェローデルは読んでます!
ジェローデルがアンドレに勧めたからね。あとアランも読んでたかな。

あらすじは、貴族の娘ジュリと平民サン・プルーの悲恋ものです。
身分の違いから、愛し合ってはいたが、結婚を認められず、ジュリは地主と結婚します。
しかし、この地主、寛大なのか何なのか、サン・プルーを家庭教師として雇い、ジュリのそばにいられるように計らいます。
おかげで、二人は過ちを犯さないように…と蛇の生殺しのような毎日を送るハメになります。
最後は天国で結ばれるというオチなんですが。

特徴的なのは、小説というよりは書簡形式になっており、ジュリとサン・プルーの手紙のやりとりで物語が進められています。
しかも、岩波から出ているのですが、ジャンルは文学ではなく哲学

翻訳は1960年のままなので、書簡(というかラブレター)がすごくロマンチックです(≧∀≦)

一体どうして、美点にたいして敏感であること、敬うべきものを愛することが罪なのでしょうか。
そんなことはありません、美しいジュリさん。
あなたの魅力は私の眼を眩ましはしましたが、その魅力に生命を与えているそれ以上に強い魅了がおありにならなかったら、私の心は迷わされはしなかったでしょう。
―― 中略 ――
お心が清らかであればこそ正しい精神と秀でた趣味が純粋であること、つまり、肉体の魅力よりもむしろはるかに感情の魅力なのです。


少々回りくどいし、変な日本語ですけど、クサいセリフ大好きの私にはたまりません+.゚(*´∀`)b゚+.゚イィ
読み終わった後、ちょっと愛されオーラが出てしまいました。

まぁ、こんな感じだから4巻まで続くんですけど。




あ、ヌーベルっていうのは「新」という意味です。
そしてエロイーズっていのは女性の名前です。

…ってエロイーズ出てないやん!というツッコミがありそうなんで、ちょっと補足しときます。

この「新エロイーズ」は1761年に出版されました。ってアンドレが言ってたか。
あと翌年出版された「エミール」などが、フランス革命の火付け役になったのは言うまでもありません。
(フランス革命は 1789年7月14日 - 1794年7月27日)

「エロイーズ」の元ネタは、1132年ごろ、キリスト教神学者ピエール・アベラールによって書かれました。
やはり書簡形式(アベラールから友人宛、エロイーズからの手紙、二人の間の往復書簡みたいな形)で、20歳年下のエロイーズに魅せられ、彼女の家庭教師になることを申し出るんですが、この二人が恋に落ちて、エロイーズは妊娠してしまいます。
怒ったエロイーズの身内の者は、縁者らにアベラールを襲撃させ、彼の性器をちょん切ります。
ヽ(;゚;Д;゚;; )ギャァァァ!!
しかし実行犯は捕えられ、目をえぐられ、やっぱり性器をちょん切られます。
ギャァァァ!!( ;;゚;Д;゚;)/
最後は同じ墓に葬られてハッピーエンドなんですが。

……すみません、やっぱりイタイ話になってきました。
まぁ、そんな話が綴られた愛の書簡集です。


まぁ、余談ですが、ルソーの「エミール」や「新エロイーズ」で感動なさった方は「告白」は絶対お勧めしません。
もちろん、どうしても読みたいというなら読んでもいいんですけど。
彼の極度のドMっぷりとか露出癖といったただの変態としか言いようのないプライベートライフが垣間見えるだけです。

ぃゃ、羞恥プレイの一貫だったのかもしれませんが、持ち込まれた出版社もこんな原稿燃やせよ!