痛みを伴わない教訓には意義がない 〜鋼の錬金術師〜

人には何か犠牲なしに何も得る事などできないのだから

人気漫画「鋼の錬金術師」のことを今更書くのもどうかと思いますが…まぁ好きなマンガなので。

鋼の錬金術師(1) (ガンガンコミックス)

舞台は20世紀前半のヨーロッパを思わせますが、ファンタジーマンガなので架空の世界です。
この中で使われている錬金術というのが、どっちかというと…魔法!
方陣のような円を描いて、その中に錬成したい物体をいれると、あら不思議。
卑金属が黄金に変わる錬金術のような現象が起きる…という感じです。

主人公は錬金術ホーエンハイムを父に持つ、エドとアルの兄弟。
ある日、家族を残し父は失踪、そして母親は死亡。
幼いころから錬金術で遊んでいた兄弟は、その知識を駆使し、母親を生き返らせようとします。
しかし錬金術では人体錬成は禁忌
母親を生き返らせることはおろか、エドは片手と片足を失い、アルは体を失い魂を鎧に定着させる形でこの世にとどまることになります。

二人は体を元に戻すために賢者の石を探す旅に出ます。

…というのがおおまかなストーリーです。というかここから話が始まります。


このマンガの魅力は何といってもファンタジーでありながら、リアリティーにあふれているところ、だと思います。
作者の荒川弘氏はかなり錬金術のことを調べた上に、独自の世界観でこの作品を描いてます、たぶん。
また、軍人も多く出るマンガなんですが、この辺を描くにあたり、実際の戦争体験者に話を実際に聞いたりもしています。


で、この主人公たちは特に信仰は持っていないようなんですが、この作品には「真理」という存在が出てきます。
「オレはお前たちが“世界”と呼ぶ存在 あるいは“宇宙” あるいは“神”
あるいは“真理” あるいは“全” あるいは“一”そしてオレは“おまえ”だ」
…これが真理

興味深いことにこの真理セフィロトの描かれた扉の向こうにいます。

セフィロトというのはカバラの「生命の木」というやつです。

鋼の錬金術師」では普通のセフィロト(ケテル、コクマー、ビナー…)ではなく、アツィルト(神の属性)のセフィロト
…すみません、また今度、カバラのことも書きます。(書けるのか?!)
とにかくこの「真理」というのが、この世界における神のようです。


えーと、主人公のエドなんですが、かなりいい根性してます。口も悪いですし。
まぁ、錬金術師やってるくらいなんで、すごく勉強していて頭がいいです。
そして、頭を鍛えた分、体も鍛えてる。

1巻はいきなり
降りて来いよ ド三流 格の違いってやつを見せてやる!!
と言ってインチキ宗教と対決します。

そして信じてすがっていたものが偽りだとわかった信者の
これからあたしは! 何にすがって生きていけばいいのよ!!
という悲痛な叫びに対して
そんな事 自分で考えろ
立って歩け 前へ進め 
あんたには立派な足がついてるじゃないか

と言い放ち、去っていく。


まぁ、こんな感じです。


他にもクセのある魅力たっぷりのキャラクターがいろいろと出てきますので、興味のある方はぜひ読んでみてください。