エロティックなダビデと不潔なマグダラのマリア

まずは美しい少年ダビデの像。

旧約聖書の「サムエル記」の巨人ゴリアテを倒した時の雄姿なのですが…
兜にブーツだけのいでたちはいかがなものかと。
ぃゃ、戦うわけだから(戦わなくても)、もっと隠さなきゃいけない部分とかあるんじゃないかと思うのですが。
まぁ、パトロンの方のリクエストで作られた作品で、ゴリアテの兜の羽飾りがダビデの内ももをなでるようにまとわりついているあたり、そういう趣味の方のリクエストなのでしょうけど。



続いてはマグダラのマリア

固まった髪、痩せこけた体が何とも不潔な雰囲気を醸し出し、今にも臭ってきそうです。
普通はマグダラのマリアというと官能的な美女を想像しますが、この作品は違います。


最初は、当時の娼婦の不潔な環境や貧しい生活を表わした作品かと思いましたが、違います。
これはキリストの死後、髪だけを身にまとい、祈りのために生きたマリアの姿なのです。
(合わせた両手が祈りを意味しています)。


なぜこの二つの作品を同時に紹介したかというと、実はこれ、どちらもドナテッロ(1386年 - 1466年)の作品なんです。
ルネッサンス初期の人ですが、後のミケランジェロダ・ヴィンチに多大な影響を与えたのは言うまでもありません。
まるでシェイクスピアが劇中の人物を書き分けるように生き生きと描かれています。

特に、マグダラのマリアにこんなに物語を込めた人も彼だけだったのではないでしょうか。
みんな改心したまでは知っているけど、まさかキリスト磔刑後の彼女の生活を描くとは!

ぃゃ、兜とブーツだけを装備した官能的なダビデを描いたのも彼だけですが。