悲劇の人生を歩んだ元祖デブタレ 〜ロスコー・アーバックル〜

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今ではバラエティーの定番となった「パイ投げ」の生みの親とされている、サイレント映画を支えた俳優の一人。
彼の代表作、「ファッティとメーベル」シリーズがヒットし、当時はチャップリンと人気を二分するほどの大スターでした。
また、かの有名なバスター・キートンを映画界に誘ったのも彼。


そんな彼の順風満帆に思えた人生が突然悲劇に見舞われます。


発端は1912年、彼がフェイマス・プレーヤーズラスキー(現在のパラマウント社)に移籍した年。
パーティー会場に居合わせた無名の女優ヴァージニア・ラッペへがパーティーの3日後に膀胱破裂で死亡したのだ。
憶測が憶測を呼びアーバックルは強姦殺人の容疑で起訴される。
当初からアーバックルは無実を訴えており、証拠不十分で無罪になった。
またラッペヘは当時淋病を患っており、それが膀胱破裂の原因だったのではないか、とも言われている。

しかし世間の風当たりは厳しくなり、各地で上映禁止となり、その作品の多くも廃棄となった。
アーバックルは一端映画界から身を引き、1924年からウィル・グッドリッチの名で監督として本格的に映画の仕事に復帰した。

1933年、ワーナー・ブラザーズ社で短編映画の製作に取り組んでいる最中、心臓麻痺により死亡。


残念ながら彼の作品はラッペヘ事件で多くが捨てられてしまい、現存するのはキートンと共演したものがほとんど。

もし残っていたら、チャップリンキートン、ロイドと並び四大喜劇王と呼ばれていたかもしれません。


彼の人生は一俳優として彼の人生を見れば、身に覚えのないスキャンダルで映画界から追放される、という非常に残念なものです。
しかし、多くの有名人が孤独の中、クスリや欲に溺れ悲惨な最期を遂げる中、彼は最後まで、キートンをはじめとする多くの友人に支えられ、一人の人間としては、とてもしあわせな人生だったのかもしれません。