マンションを買ったら…

これはあるお客様の恐怖体験。
※心霊系ではありません。
40代独身女性のAさんは、意を決してファミリー・タイプの新築マンションを購入しました。
独身なのにファミリー・タイプを購入したのは、Aさんは給料こそいいものの、時間や休みが不規則な仕事で、転勤の可能性もあるので、転勤で地元にいない間は賃貸にするためでした。それに、もしかしたら、これからパートナーが現れるかも知れないし、家の老朽化で親とマンションで暮らすことになる可能性もあるし…など様々な可能性を考慮の末の購入でした。
とりあえず、3年間は転勤の予定はないので、早速、新築マンションで一人暮らしを満喫することにしました。
するとある日の夜、9時を過ぎた頃、ピンポーンとインターフォンを鳴らす音がしたのです。
カメラ越しに相手を見ると、70代位の老婆と40代位の中年女が立っていました。
え?何?宗教?Aさんは無視をしようとしましたが、しつこくインターフォンを鳴らすので、一応、確認のため応対しました。
あの…Y田です。と老婆。
Y田?あぁ、妹の嫁ぎ先の…?妹の姑と小姑かな。
ハガキに「お近くにお越しの際はお寄りください」と書いてあったので…
確かに、年賀状を出している人全員に、「住所変わりました」のお知らせのハガキを送ったし、決まり文句でそんなことも書いたかも…。
でも普通、ハガキにいくら「お近くにお越しの際は…」とか書いてあっても、いきなり来る?しかも夜の9時過ぎって…などと思いもしましたが、妹の嫁ぎ先の人なので、渋々二人を中に入れ、お茶を出しました。
へぇ〜、なかなかいい所じゃない。場所もいいし。家具も素敵ねぇ。
お風呂もホテルみた〜い。わぁ〜、クローゼットもオシャレ〜!トイレもウォシュレットでいい感じだし。
と、まるでモデル・ルームの内覧会のように勝手にいろいろと開け始めました。
ちょっと、何してるんですか!?
さすがにAさんも軽くキレました。
いえね、あなたも独身だし、うちの娘も独身だし…これからのこともあるでしょ、ね?
は?「ね?」って何なんですか?意味が分かりません。
まぁ、今日はもう遅いし
と老婆が言うので、やっと帰るのか、と一安心したら
このまま泊まらせてもらいます。来客用の寝具もないでしょうから、私と娘はあの大きいベッドで構いませんから。
(゜Д゜) ハア??
あなたもこの子も義理の姉妹、家族なんだから。
言ってる意味がまったく分からない。
イェーイ!
とシモ●ズのセミダブルのベッドにダイブする小姑に、気がつけばドロップキックをかましていました。

ちょっと、あんた何すん…ちょっと妹に連絡させてもらいます。
それだけはさせない〜!!
スマホを奪おうとする姑を壁に押しつけ妹に連絡。
お姉ちゃん、どうした?
何かさぁ、あんたのとこの姑と小姑がいきなりウチに突してきて、泊めろとか言って、私のベッド占領しようとしてるんだけど。
はぁ?
妹は即旦那に事情を伝え、すぐに来てくれるとのこと。
そそくさと逃げようとする姑と小姑の靴をスーパーの袋に詰め込み、逃げるのを阻止。
靴返せ〜!
とつかみかかる小姑ともみ合っているうちに妹夫妻到着。
お義姉さん、すみません。と旦那登場。
途端に被害者面する姑。
この人が…この人が娘に暴力を…と言いかけた姑の顔面に妹旦那のグーパン炸裂。

暴力ってどの暴力の事だぁ?
妹は初めて見る旦那の姿にちょっとドン引き。普段は暴力とは無縁の人だそうです。
お義姉さん、すみませんが、塩とガムテープ貸してください。
???
意味は分からなかったが、とりあえず、言う通りに。
すると旦那は小姑の鼻をつまんで口を開けさせ、そこに一掴みの塩を入れ、ガムテープで口を塞いだ。
ハウス・クリーニングが必要なら、こちらに請求してください。
と一礼すると、姑と小姑を回収して帰って行った。



妹の旦那さんは普通の人だったのだけど、専業主婦だった姑と「女の子だから」という理由で甘やかされまくってニートをやっている小姑。
常識が通じず、この手のトラブルをたまに起こすので、いつもその尻拭いを旦那さんがしてるらしい(舅は既に他界)。
この度も姑が生きているうちは何とか家も保つけど、小姑の老後はかなり老朽化が進むであろうと心配していた矢先、嫁の姉がかなり立地条件の良い場所にファミリー・タイプのマンションを買ったので、親子でそこに寄生するつもりだったらしい。


「実家に寄生」って言うのはよく聞くけど、嫁の姉の家に寄生はないわ〜。