(ノ∀`)なお客さん 〜不思議? ぃぇ、無知で無能なだけですよ〜
(ノ∀`)度 ★★★★★
私は前世鑑定もやってますが、人によってはお断りします。
今日は、断ってもポシャってもゾンビのようによみがえって、とうとう根負けしたので前世鑑定したお話。
この人とはたぶんもともと縁がなかった。
予約を入れてこようとするけど、どれもすでに予約が入ってたり、何とか予約を取り付けてもトラブルが発生して結局キャンセルになったり…。
だいたい最初に来たメールからしてちょっとキモチワルかったので、私はかなり引いたし、絶対断ろうと思ってましたから。
「不思議です〜。
私は夫と子供がいるのですが、今の自分に違和感を感じています。
たぶん、今の私は本当の私ではないと思います。
確かに今の私は専業主婦ですが、人から相談を受ければ強気な発言ができるし、自分はこんなところにくすぶっている人間ではない!となぜか確信しています。
この違和感をぬぐい去るために、ぜひ前世鑑定をしてください。」
ね?何かキモチワルイでしょ?
このメールを見た瞬間、絶対占いたくない!って思いましたもん。っていうか遭遇したくない。
もうね、無能なくせに自分に自信持って人を見下してるのがありありとわかるじゃないですか。
会ったら絶対、暴言を吐いてしまう!
だから何としても断りたかったんですが、とうとう会って鑑定することになったんですよ。
仮に不思議さんとでもしときましょうか。
メールもイタかったけど、実際会ったらさらにイタかった。
(以下不思議さん、私)
一介の主婦である私が、どうして人の相談には強気なことやポジティブなことが言えるのでしょう?
人事(ひとごと)だからですよ。何とでも無責任なことが言えます。
仮に「どこか外国に行きたい」という人がいれば「行ったらいいじゃない!」と答えるんじゃありませんか?
…そうです
外国に行きたいと思ったことは?
あります。
ではなぜ行かないのですか?行ったらいいじゃないですか。
今、お金のこと、時間、家族…いろんなことが頭を駆け巡ったのでは?
人から相談を受けた時、相手の立場になってそこまで考えを巡らせたことはありますか?
…いいえ。
だから平気で無責任なことが言えるんですよ。
無責任というか無知ですね。思慮が足りなすぎる。
別に不思議でも何でもありませんよ。ただの「何もできないくせに言うことだけは一著前」っていうやつです。
言っちゃったー。
あれ?不思議さん、目がちょっとぐるぐるしながら涙目。
で…でも、このポジティブな考えには何か理由があるわけで…
あー、はいはい。この人はお金払って前世聞きにきたんだった。
商法上、占ってって言われたことはきちんと答えないとね♪
――不思議さんの前世――
紀元前の地中海の島。
島民のほとんどが漁業で生活をしている。
不思議さんは男性で、漁師の仕事がキツいから、自分は詩人になるんだって言ってニートやってる…。
でも才能なんかないから誰も相手にしてない。
このままじゃいけない、と不思議さんはついに観念し、漁師として船に乗り込みます。
しかし、運悪く不思議さんの乗った船は嵐に遭い、遭難。
どこかの島に流れ着いた不思議さんは、その島の人々から手厚く看護され、もてなされます。
天国だーーー!
不思議さんは思いました。
そして島の人々への恩返しに詩をプレゼントします。
すると今まで誰も相手にしてくれなかったのに、ここでは大ウケ。
そんな幸せな日々を過ごしていたある日、村の長老がやってきます。
「今日は祭りなんですよ」と。
どんな素敵な祭りなのかドキドキわくわくする不思議さんは不意に縛りあげられます。
そして公衆の前に引きずり出され、人々から石や火のついた木を投げつけられました。
そう、不思議さんは単に祭りの生贄として、それまで飼われてただけなんですよ。
あれ?不思議さ〜ん。
何か魂が抜けたような顔してますよ。