聖☆おにいさん11巻

聖☆おにいさん(11) (モーニング KC)

聖☆おにいさん(11) (モーニング KC)

恒例の元ネタ解説です。

●ユダ


ユダのシンボルは銀貨30枚と縄です。

それはキリストを売った金額でした。
しかし、それを後悔したユダは、その金を神殿に投げ込み、自ら命を絶ちます。


ユダ十字…?吊革に見えますが、ユダは首吊り自殺をしたので、首吊りの輪っかです。うん、十字架じゃない…。
ちゃんと黄色い服も着ています。
↑フランス プランピネの聖セバスチャン教会所蔵

エスを裏切ったユダは、イエスに有罪の判決が下ったのを知って後悔し、銀貨三十枚を祭司長たちや長老たちに返そうとして、「わたしは罪のない人の血を売り渡し、罪を犯しました」と言った。しかし彼らは、「我々の知ったことではない。お前の問題だ」と言った。そこで、ユダは銀貨を神殿に投げ込んで立ち去り、首をつって死んだ。
祭司長たちは銀貨を拾い上げて、「これは血の代金だから、神殿の収入にするわけにはいかない」と言い、相談のうえ、その金で「陶器職人の畑」を買い、外国人の墓地にすることにした。このため、この畑は今日まで「血の畑」と言われている。
マタイによる福音書27章3〜8節

●イエーイ十字


…についてはこちらを参照してください。

●…3日だけ信じて待てば…

…3日だけ 信じて待てば…
腐り切る前に自らフタを上げ出てくるかもしれぬ…
ご存知、キリストが十字架にかかり、3日後に復活したと言う話。それが、イースター(復活祭)です。

さて、安息日が終って、週の初めの日の明け方に、マグダラのマリヤとほかのマリヤとが、墓を見にきた。 すると、大きな地震が起った。それは主の使が天から下って、そこにきて石をわきへころがし、その上にすわったからである。 その姿はいなずまのように輝き、その衣は雪のように真白であった。見張りをしていた人たちは、恐ろしさの余り震えあがって、死人のようになった。 この御使は女たちにむかって言った、「恐れることはない。あなたがたが十字架におかかりになったイエスを捜していることは、わたしにわかっているが、もうここにはおられない。かねて言われたとおりに、よみがえられたのである。さあ、イエスが納められていた場所をごらんなさい。そして、急いで行って、弟子たちにこう伝えなさい、『イエスは死人の中からよみがえられた。見よ、あなたがたより先にガリラヤへ行かれる。そこでお会いできるであろう』。あなたがたに、これだけ言っておく」。そこで女たちは恐れながらも大喜びで、急いで墓を立ち去り、弟子たちに知らせるために走って行った。すると、イエスは彼らに出会って、「平安あれ」と言われたので、彼らは近寄りイエスのみ足をいだいて拝した。 そのとき、イエスは彼らに言われた、「恐れることはない。行って兄弟たちに、ガリラヤに行け、そこでわたしに会えるであろう、と告げなさい」。
女たちが行っている間に、番人のうちのある人々が都に帰って、いっさいの出来事を祭司長たちに話した。祭司長たちは長老たちと集まって協議をこらし、兵卒たちにたくさんの金を与えて言った、「『弟子たちが夜中にきて、われわれの寝ている間に彼を盗んだ』と言え。万一このことが総督の耳にはいっても、われわれが総督に説いて、あなたがたに迷惑が掛からないようにしよう」。そこで、彼らは金を受け取って、教えられたとおりにした。そしてこの話は、今日に至るまでユダヤ人の間にひろまっている。
さて、十一人の弟子たちはガリラヤに行って、イエスが彼らに行くように命じられた山に登った。そして、イエスに会って拝した。しかし、疑う者もいた。 イエスは彼らに近づいてきて言われた、「わたしは、天においても地においても、いっさいの権威を授けられた。
マタイによる福音書28章1〜18

ちなみに、背後に描かれているキリストの絵はピエロ・デッラ・フランチェスカのものと思われます。

こちらの絵、一度は漆喰で塗られ上から別の絵が描かれていたのですが、徐々に漆喰がはがれ自ら復活したり、戦火から町を守ったりと、様々な逸話のある絵画です。興味のある方は調べてみてください。
個人的には、右から2番目の兵士の下半身が見当たらないのが非常に気になります。

プロビデンスの目

「神の全能の目(all-seeing eye of God)」と言われています。

フランスの人権宣言の上の所に描かれていたり、


「エマオの晩餐」ヤコポ・ダ・ポントルモ
宗教画に描かれていたりします。
厳密に言うと、キリスト教っていうか、16世紀にスコットランドのウィリアム・ショーが創設した石工の団体…いわゆるフリーメイソンなんですが、そこの文書や儀式に多く使われています。
霊的知識を象徴しますが、宇宙の偉大な建築家である神がいつもみてるぞって感じです。17〜18世紀には結構いろんなところで使われるようになりました。
日本の1000円札をすかして見れば、裏に印刷された富士山と野口英世の左目が重なってこう見えるとか、いろんな説がありますね。

●聖ペトロの魚

一行がカファルナウムに来たとき、神殿税を集める者たちがペトロのところに来て、「あなたたちの先生は神殿税を納めないのか」と言った。
ペトロは、「納めます」と言った。そして家に入ると、イエスの方から言いだされた。「シモン、あなたはどう思うか。地上の王は、税や貢ぎ物をだれから取り立てるのか。自分の子供たちからか、それともほかの人々からか。」
ペトロが「ほかの人々からです」と答えると、イエスは言われた。「では、子供たちは納めなくてよいわけだ。
しかし、彼らをつまずかせないようにしよう。湖に行って釣りをしなさい。最初に釣れた魚を取って口を開けると、銀貨が一枚見つかるはずだ。それを取って、わたしとあなたの分として納めなさい。」
マタイによる福音書17章24〜27

以来、この魚は「セント・ピーターズ・フィッシュ」と呼ばれています。

この魚ってどの魚よ、と言われそうなので、一応、一般論としてはティラピアがそうだと言われています。
スズキ目カワスズメ科らしいですが、魚類は寿司のネタくらいしか知らない私に、これ以上深くツッコんだ質問はご遠慮ください。


●口の軽い息子とぶどう酒全裸事件


さてノアは農夫となり、ぶどう畑をつくり始めたが、彼はぶどう酒を飲んで酔い、天幕の中で裸になっていた。
カナンの父ハムは父の裸を見て、外にいるふたりの兄弟に告げた。
セムヤペテとは着物を取って、肩にかけ、うしろ向きに歩み寄って、父の裸をおおい、顔をそむけて父の裸を見なかった。
やがてノアは酔いがさめて、末の子が彼にした事を知ったとき、彼は言った、「カナンはのろわれよ。彼はしもべのしもべとなって、その兄弟たちに仕える」。また言った、「セムの神、主はほむべきかな、カナンはそのしもべとなれ。神はヤペテを大いならしめ、セムの天幕に彼を住まわせられるように。カナンはそのしもべとなれ」。
創世紀9章20〜27

分かりにくいかもしれませんが、口が軽い息子がハムです。
そして、ハムのせいでなぜか息子のカナンが呪われる…。
何とも理不尽なお話です。